無理やり連れ込まれて不機嫌そうな絢斗。表情は長い前髪のせいでほぼ見えないけど、声のトーンでだいたい不機嫌かどうかが分かる。


「ねぇ、絢斗」


名前を呼ぶと、ズボンのポケットに手を突っ込みながら、私の方へ少し振り向いた絢斗。


「ん?」


そして、私は迷うことなく紙袋からオニューの下着を取り出して、堂々と絢斗に見せつけた。そう……これは“最終兵器”。

何をしても、どんな手を使っても、私に靡いてくれない陰キャ幼なじみを落とす為の作戦。一歩間違えなくても、これがセクハラなのは重々承知の上。でも、もうこうするしか道がないって思ったの。

・・・・『いや、もっと他に道あんだろ』とかのツッコミはやめて。なりふり構ってらんないの。


──── ふふふっ……はっはっはっーー!!


さぁ、絢斗!!存っっ分に狼狽えなさい。

そこそこイケてる幼なじみの女が、『こんなセクシーな下着を毎日着けているなんて……』とか想像して、悶々としまくりながら、たどたどしく赤面しろ!!


「ジャジャーン!めっちゃ可愛くな~い?一目惚れして買っちゃった!どう?私に似合うかなぁ?」

「未琴」

「ん?」

「それ、未琴には似合わないと思うよ」

「……」



──── 動揺することもなく、なんなら少し冷たい絢斗に私の心がポキッ、バキッ、バキバキッ……と音を立てながら崩れ落ちていった。