“万年初恋拗らせ女代表取締役”を勝手に務めさせてもらっています。高城未琴(たかぎみこと)です。華やかな高校2年生……とでも言っておこう。

そんな私には愛してやまない同い年の幼なじみが居る。物心がついた時にはいつも隣に君がいて、気づいた時にはもう君を好きになっていた。

そんな私の想い人……西宮絢斗(にしみやあやと)は、どれだけアタックしようがなびきません!これはかなーり由々しき事態である──。

そんな万年初恋拗らせ女が毎日どんなアタックをしているかって?


──── 例えば……毎朝、絢斗が寝ているベッドにコソコソッと忍び込んで、絢斗にムギュッと抱きつく。


「ん……あれ?なんで私、絢斗のベッドにいるんだろう?あ、おはよう。絢斗」


何事も無かったかのように、偶然と平静を装う──。“あくまで私の意思とは関係なく、目が覚めると絢斗のベッドにいる女”……として気丈に振る舞う。


「未琴、夢遊病じゃない?病院へ行ったら」


長い前髪のせいであまり表情が読めないけど、おそらく絢斗は真顔。


──── ねえ。朝目が覚めた時、隣にそこそこイケてる幼なじみの女が居たら『え、あっ、あのっ!ぼ、僕、ごっ、ごめん!!』とか言って、たどたどしく赤面するでしょ、普通は。


ま、絢斗は“普通”の男とは違うんだけどね?そりゃそうでしょ?私が大好きな絢斗はそんじょそこらの男とは格が違うの。