瀧川くんが再び甘くて深いキスを求めてくる。

甘く、蕩けそうで、全身が絆されるいくような濃厚なキスを──。


──── いや、待って、待って?待って!?


私は瀧川くんの胸元をポンポン叩いた。

すると、色っぽい表情をしながら名残惜しそうに私から離れる瀧川くん。


「ごめん、嫌だった?」

「いやっ、あの──」

「ん?どうしたの?」

「…………私、吐いた後だし」


・・・・・・沈黙が流れる。


「え?」


『何を言ってるの?篠宮さん』的な顔をして私を見ている瀧川くん。

『『え?』って何?普通嫌でしょ、え?』的な顔をして瀧川くんを見る私。


「あ、ああ……ごめんね?俺は全然気にしないんだけど」

「気にして。どう考えてもありえないでしょ」

「そうかな?だって相手は篠宮さんだし」


キスをしたそうな瞳で私を見つめてくる瀧川くん。

私はスーッと目を逸らした。


「ククッ。でも、“キス”自体は嫌じゃないんだね。良かったよ」

「いやっ、それはっ、別に……」


慌てて瀧川くんの方へ視線を戻すと、嬉しそうにニコニコして私を見ている。


「俺とのキス、気持ちいい?」

「べっ、別にそんなんじゃっ……」

「だって篠宮さん、“気持ちいい”って顔するだもん……ほんっと可愛いね」

「そんなことっ……」

「ああ、ちょっとヤバい……かな。どうしようもなく、君を食べてしまいたい──」