圧迫感にジリジリとじんわりじんわり押し付けられて、すごく息苦しい。この男もそのナニかを感じ取ったのか、素早く私から離れて辺りを見渡している。

男が私から離れた瞬間、その殺意に近いナニかはスッと消えた。

今のは一体……なんだったの──?


「篠宮さん」


聞き覚えのある声が背後から聞こえて振り向くと、そこにいたのは同じ制服を着た人で──。


「宮腰くん」


クラスメイトだった──。


「どうしたの、大丈夫?」


・・・・いやいやいや……状況が悪化する気しかしないよ、これ。なんで宮腰くん乱入してきちゃったの……?雰囲気でだいたい分かるでしょ?君には到底ムリだよ。さっさと逃げて、お願いだから──。


「宮腰くん」

「ん?」

「逃げて」

「え?」

「いいから、早く」

「なんで?」


──── あーーもうっ!!察してよ!!君に喧嘩なんて出来ないでしょ!?喧嘩したことある?無いよね!?……いや、私も無いけどさ!!宮腰くんには無理だよ、絶対に。


そう、宮腰くんは…………紛れもなく、陰キャである──。

ここで宮腰くんの紹介を簡潔にしてみようと思う。なんて言ったって私は宮腰くんと3年間クラスが一緒だから(ドヤ顔)……じゃない!!ま、いいや、なんでも。えっと、宮腰くんは──。


身長はまあまあ高い方かな?多分170後半。制服は一切気崩すことなくしっかり着ている。あ、でも、ちょっとブカめな制服着てる印象。サラサラの黒髪で重めなマッシュヘア。ちなみに前髪が長くて宮腰くんの目が見えない。