アルファがオメガの首を噛む。
それは番という契りをかわしたと同意。
オメガの首に一生残る噛み跡は【番】になった証で、結婚式に永遠の愛を誓い指輪の交換をするのと同じことなんだ。
「俺が後悔? なにその断定」
「私はオメガってだけで、人に好かれる要素なんて持ってないし」
「歌夜と番になって、俺が後悔することは一生ない」
なぜこの総長様は、自信満々に言い切れるのだろう?
私を産んだ実の母親でさえ、私を嫌いになった。
母親に捨てられた私が、誰かに一生愛されるなんてありえるはずがないのに。
長い時間、目隠しをされていたせいなのかもしれない。
自分の中に閉じ込めていた醜い感情が、外に出たいと狂いだした。
私は椅子から立ち上がる。
瞳を隠すように巻き付いていたネクタイをほどき、東条くんに鋭い目を突き刺す。