「もう待てない」


 東条くんの手が私の首をさすってくる。

 ひぃあ、くすぐったいよ。

 なぞられた首筋だけじゃない。

 全身が性感帯にさせられちゃった?と思うほど、ゾゾゾって震えが駆け上がってきちゃう。



「外して、チョーカー」


 やっぱり私は、東条くんの甘い命令に弱いんだ。

 誉めて欲しい。

 東条くんの男らしい声で。

 欲望に駆り立てられ、チョーカーを外してもいいかなって思えてきたけど……


 はっ!

 ダメダメ、これはオメガにとっての命綱!

 首に巻いているチョーカーを外していいのは、一生添い遂げると誓い合った恋人の前だけ。

 これ大事。


 確認だけど……

「東条くんもでしょ?」

「なに?」

「私を好きなわけじゃないでしょ?」

「は?」

「オメガフェロモンに誘惑されて、私を噛みたくなっちゃうだけでしょ」

「……っ」

「私なんかを噛んだら、絶対に後悔するよ」