ひゃっ!
だだだっ、抱きしめられてる?
いきなりのバックハグはやめて。
視界真っ暗で、耳にかかる東条くんの吐息がいつも以上にくすぐったく感じちゃうから!
「本当にいいの? 俺が歌夜の番になっても」
ひぃえぇぇぇ……鵜呑みにされちゃった。
ごめんなさい、ダメです、間違いです。
私の脳にアルファの媚薬が回って、東条くんのフェロモンに充てられて、変なことを言っちゃっただけなんです。
なんて言い訳をしたいのに、私は言葉を紡げない。
「俺の名前を呼んでくれたご褒美、あげないとな」
優しすぎるワイルド声のあと。
唇の皮膚に甘い重みを感じて、私は言い訳どころではなくなってしまった。
今のって……