ヤバい!

 褒められただけで、心臓が痛いくらいギューだ。

 ドキドキが早すぎ。

 心停止すらムリ。

 ハートが駆け止まらなくなってる。


「歌夜、もっともっと俺のことを意識して」


 私の耳に吹きかけられた、甘いワル声。

 視覚に頼れない分、聴覚、嗅覚、触覚が敏感になってしまうのは、どうしようもない。


「24時間俺しか考えられないようになれば、歌夜の悲しみが紛れるだろ?」


 彼の優しさに触れ、ますます脳が溶かされ、正常な判断ができなくなり……


「……噛んで……私の首」


 とんでもないことを、私は口走ってしまったのです。


 今の私は、東条くんのアルファフェロモンにかなり惑わされている。

 東条くんだって同じ。

 私に甘い言葉を紡ぐのも、宝物を愛でるように私を後ろから抱きしめてきたのも、私のオメガフェロモンにあてられているから……で……って。