「呼んで、俺の名前」


 また命令してくれた。


「素直に従ったら、ご褒美をやる」


 ご褒美ってなんだろう。

 東条くんの口から紡がれるアメとムチの心地よさに、ハートが甘痛くうずいてしまう。

 目隠しをされたままだけど、顔を上げるのはちょっと。

 だから、うつむいたままで……


朝都(あさと)……くん……」


 ひゃい!

 下の名前を呼ぶのって、心臓が逃げ出しそうなほど恥ずかしいものなんだ。

 この3年間、東条くんって苗字呼びをしていたせい。

 今さら朝都くんなんて、顔の熱が上がっちゃう。

 頬を冷やそう。

 両手でパタパタパタ。


「なに、その照れ方」

 ふぇ?

「可愛すぎなんだけど」