陸斗くんに髪型を褒めてもらえたから、1限目は苦手な数学だけど頑張れそうだなあ。


思わず鼻歌を歌いそうになりながら、私が教室の自分の席で1限目の授業の準備をしていると。


んっ!?


いきなり、後ろに引っ張られる感じがした。


「小嶋、またニヤニヤしてる」

「ちょっ……相楽くん、引っ張らないで」


後ろの席の相楽海斗くんが、私のポニーテールの毛先を掴んでいた。


「つーか、今日は髪結んでるんだ?」

「うっ、うん。今日は早起きしたから、その……気分転換に?」


まさか、陸斗くんのために結んだなんて言えない。


「ふーん。気分転換……ねぇ」


髪の毛を掴んでいた相楽くんの手が、スっと私から離れた、と思ったら。


今度は、相楽くんがじっと私のことを見てくる。


なっ、なに!?