(エヴィーに魔力の揺らぎを感じ取られたら困る)


あまりに大きいと,いいわけに失敗するかもしれないから。

時間との勝負。

怠けたからだをひっぱたいて,私は正面からぶつかるように走った。

胸が痛い。



(間に合っ……た)



はーーーと珍しく余裕のない息をはく。



(まるで壊れかけのジェンガみたいだわ)



せめて,せめて。

自分で崩さないようにしなくては。

私はいつも,そんな風に怯えながらエヴィーとの別れを覚悟していた。