エヴィーは私の偽りを感じ取っていた。
「うん。よかった」
けれど,にこりと笑う。
その微笑みには,不安が浮かんでいて
(いつの間にか……大人みたいな顔で笑うようになったのね,エヴィー。私のせいかしら)
それとも。
そっと右手を頬に当ててみる。
(私がそんな顔を,あなたに向けているの?)
ーキンキンキンキン……
「エルさん。これもお客さんの音?」
「ええそうよ。ちょっと行って来るわね」
(2週間ぶり……だったかしら。困った,だいぶ近いわ)
空気を読まない音を逆手にとり,話題を変えようとしたであろうエヴィーに焦りを悟られないよう,私はぱたぱたと外套を羽織ながら家を出た。