震える声は唇を情けなく震わせて



『だからあなたに,頼んだと言うの? 私の,暗殺を?』



ああ嫌だってそれだけを頭に駆け巡らせた。

実際に雇われている刺客が宰相を脅すと,舌を絡ませながら続きを話す。



『まっまて! 聞いてくれ,これは手違いなんだ』



否定してくれるならなんでも良かった。

どれくらいでも待てると,聞けると思った。

けれど彼の言葉は,ほっと安堵しかけた私を大きく裏切った。



『わ,私は,少し脅すようにと言われて,そう頼んだはずだったんだ』



息が,出来なくなるかと思った。



『それが,手違いとは言え本職の,いやしかしそもそもここまでの大事になったのはアーシア嬢が返り討ちにしたせいであって』