(最後に聞いたその言葉に。私はその日,愛にも本物と偽物があることを知った)



そうして父は強引に私をどこかへ連れていき,棄てるように誰かに投げ渡すと,お金を受け取った。

残された私は,危うく多重の意味で襲われるところだった。

思い出したのはハリー。

思い出したのは,愛しい家族の思い出。

恐怖に打ち勝つことの出来なかった私は,気付けば四人もの男から,息を吹き返す可能性すらを奪っていた。

また,思い出したのはハリー。



ー今日の夜,外で逢える? ──に伝えたいことがあるんだ



『あ,あ……ぁ』



(忘れるはずもない記憶)



居場所を求めて,私は1人,森で暮らし始めた。