『アリエル,部屋に戻ってなさい』
母が父の様子を目で伺いながら,きつく口にした。
私を守るためだと理解したけど,守られないといけない事態に困惑して,動けなかった。
私の中の両親は,優しく穏やかなままで止まっていたから。
『ああ,そうさ。金がないならアリエルで作ればいい。どうせ俺が作った娘だ』
狂気とも取れる発言に,全身が強ばった。
何をする気なのか分からなくて,父親相手に魔法も使えなくて。
私の持つ全てがごみのようだった。
母は泣いていた。
父は私を睨んでいた。
『やめて,誓ったじゃない。私も,産まれたら娘のことだって愛すると,なのにどうして,どうして────あの言葉は,嘘だったの……?!────────』