「この距離や範囲をたゆませず,それも外敵に気付かれ無いように設置するのは骨が折れただろうね。この細さなら,例え侵入者が足を引っ掻けても誰も気付くことはない」

「これが,あの家に繋がっているの?」



信じられないとベッキーが言うと,ハリエルさまは肩をすくめた。



「うん。多分,鉄製の調理器具でも置いてるんだろうね。そうすれば音が鳴ったとたんに分かるから」



気にせず行こうというハリエルさまの言葉を聞きながら,僕達はそろそろと歩く。

ベッキーは仕掛けが気になって仕方ないのか,時折足元をちらちらと確認しながら歩いていた。

また,最終的に到着した土地には,ハッキリと繋がった何本もの糸が見えた。