僕たちが訓練している間に建設された階段を登り,あの頑丈な壁の上に立つ。

その後ハリエルさまの作った氷の斜面を慎重に下って僕らは懐かしい森へと侵入した。



「目的地はあそこかい?」




ハリエルさまはぱちくりとして,森の真ん中から飛び出た土地にそびえ立つ家に指を差す。

確かにそれは,僕たちが一度見たあの家だった。



「多分……あそこにいると思います。前はあんな風に盛り上がってはいなかったけど」

「……誰かが近づくのを拒絶してるみたいだ」



たった1人で暮らし続けていたくらいだから,そうとも言えるだろう。

問題は



(何がそれに拍車をかけたのか)



そして



「どうやってあそこに上がればいいんだろう。それに,彼女に僕達の侵入が知られているかもしれないのも気にかかる」

「既に気付いてる?」

「ええ。1度夜襲に向かった時,確かにエヴィー……行方不明の彼女が言っていたの。きっとバレてるから引き返せって」

「なるほど」



エヴィーと森の女性の関係を深く説明するまでもなく,何かを納得したハリエル様はまた深く考え込むように黙った。

そして周囲を観察するようにキョロキョロと辺りを見渡す。