「私はもうっ……誰にも脅かされたくないのよ……っ!!!!!!!!」
その瞬間,今までにない魔力が放出された。
魔力は魔法に変換され,何かしらの危機から身を守るためか,何よりも危ない凶器となる。
爆発に,何かが砕ける音,弾ける音,鈍い音。
沢山の音に包まれた。
威力が桁違いとは言え,この感覚には覚えがある。
「ふ……。ぁ」
この感覚が訪れた後は。
ー私の目の前に,人が倒れているのだ。
そんな,と,心で呟く。
取り返しがつかないと,彼女に駆け寄った。
黒い光沢のある物体がエヴィーの腹に突き刺さり,冷たく硬い氷は片方の耳を抉り。
右の目の上は,火傷に爛れている。
傍には,エヴィーのものと見られる魔法の発現が残っていた。
それだけで,エヴィーでは私すら自覚していなかった最高威力の魔法を受け止められなかったのだろうと分かる。