「その絵本はね,実際に起こったことを都合よく解釈して記録するためのものだったの」



その事実を知ったのは,本当にたまたまだった。

囚われた親族達を助けようと城に侵入し,遅かったと絶望した私は。

無事に森へ帰るために,精神を落ち着けようと図書室のような場所に隠れた。

ハリーの見せてくれた絵本を見つけ,同じくらい古い本が並んでいるのを見つけ。

懐かしさに救いや癒しを求めて,手にとって読んでみた,ただそれだけなのだ。

認識の偏りがある文章を読み解くのはエネルギーのいる作業だったけれど,大まかな内容を知るには十分だ。

私は残虐な国の歴史を知ってしまった。