(やめて,待って。違うのエルさん)



どれも口から出ていかない。

戻ってきたダニーが,剣を持つ手に力を込めて振り上げたのを見た私は咄嗟にエルさんを庇うように振り返った。

私が敵にしかみえないエルさんに背中を向けたこと。

そして庇ったことへの戸惑いで,ダニーが無防備に動けなくなる。

ダニーが私に剣を向けている構図に,ベッキーがきゃーーっと声をあげた。



「ごめんなさいエルさん。違うの。今日はもう,かえ」



刹那。

燃えていた木は,エルさんによって更に燃やされ。

1本,私達4人に向かって倒れてくる。

咄嗟に全員無事だったけれど,私はショックでそれ以上動けなかった。