今日のりゅうちゃん...なんか変だったな。
授業中、やけにりゅうちゃんの視線を感じた。
しかも、朝のあの表情。
教室に行こうとした時、りゅうちゃんは何だか苦しそうな表情をしていた。

「おーい、松田!ちょっといいかー?」

ん?先生、どうしたんだろう?
帰る準備が終わった頃、職員室へ行こうとしていた酒井先生から呼ばれた。

「いやー、松田ごめんな。これ、高山(タカヤマ)の所に届けて欲しいんだよ。今日職員会議あって俺行けなくて。」

そう言って酒井先生は少し分厚い茶色い封筒を私に渡した。

「これ、住所なんだけど、頼めるか?」

うっ...こういう困ってる表情されると断れないんだよね、

「分かりました、責任持って届けます」

「ありがとう松田!そうそう、「酒井先生が『そろそろ来ないと退学だからなー』って言ってた」って言っといてくれ」

「頼むぞ松田!」と言って教室から出ていった先生。

そういえば、このクラスりゅうちゃん以外に来てない人がいた。名前は確か...

住所が書かれたメモをみると、住所と 高山 夏希(タカヤマ ナツキ)と書かれている。

高山さん...!名前的に女の子っぽい?

「恵麻さん、どうしたの?」

「あ、陸斗くん。実は先生からこれ届けてってお願いされちゃって...」

「そうなんだ、恵麻さんも大変だね...もし良かったらそこまで送ろうか?」

陸斗くんの優しい提案に、私はジーンと心が温かくなる。

でも、そこまで距離は遠くないと思うし、陸斗くんに迷惑はかけたくない。

「ううん、大丈夫!ありがとうね!」

そう言うと、陸斗くんは「そっか」と言って優しい笑みを浮かべた。

「それじゃあ、終わったら連絡ちょうだい。終わったら迎えに行くよ。それまで俺用事を足しているから。」