普通、俺が睨むと母親も顔を青くする。
なのにこいつ...

「あ、甲田くん。おはよう。」

は?何がおはようだ。今そんな状況じゃねぇだろうが。

「おはようじゃねぇ…俺はどういう事だって聞いてんだよ…」

「えぇ、どうしたの甲田くん」

この男...
なんかコイツ...

一般人じゃなさそうだな、

昨日も、一緒に飯食った時、俺に対して警戒しているようなオーラを感じた。
今は全くそんなオーラはないけどな。
とにかく、こいつは危険だ。華奢な恵麻を近くに置いておけない。

すると、周りに人が段々集まってきた。

っち、見せもんじゃねぇぞ。

「恵麻、ちょっといいか?」

早く色々聞きたいけど人が多すぎてここで話したくは無い。
恵麻が、少し困っているような表情で「う、うん...」と頭を縦に振ったので、俺は恵麻を優しく引っ張って、人のいなさそうな所へ連れて行く。
ふと後ろを見ると、あの男はなんとも言えない表情で俺達を見ていた。



「それで、恵麻。なぜ今日あいつと一緒に登校してたんだ?」

「え、えっとぉ...」

...なんでそんな顔するんだ?
まるでなにかを隠している表情、一気に不安感が押し寄せてくる。

キーンコーンカーンコーン

俺たちを見ていたかのようなタイミングで、チャイムがなってしまった。

...本当に最高だ。

「あ、チャイムなっちゃった...り、りゅうちゃんそろそろ教室もどろ?」

どこかホッとしたような表情の恵麻。
俺に隠し事しているという事に、だいぶショックを受ける。
今まで恵麻は俺に隠し事をした事があったか?
俺はそう自分に問う。

いや、ないな。

「り、りゅうちゃん?どうしたの?早く行かないと遅刻しちゃう。」

「あ、あぁ、そうだな。悪いな。呼び出したりして」

俺、今どんな顔してるか分からねぇ。
きっと、情けない表情なんだろうな。

...絶対、何があるか突き止めてやる。