メニューを見ると、焼き魚定食やハンバーグ定食みたいなものもあり、ステーキやフォアグラなんかの高級なものもある。

これ、本当にお店じゃないの…?

とりあえず、あまりお腹空いてないし、トーストセットの小にしようかな…

タブレットで番号をいれ、少し待っているとすぐにトーストセットが届いた。

「貴方、もしかして例の恵麻様ですか?」

この声の主は、トーストセットを持ってきてくれた長髪の20代くらいの男の人。

「私、ここの食堂エリアの管理人の狐野田(コノダ)と申します。」

「あ、私松田恵麻です…!よろしくお願いします!」

そう言って立ち上がると、狐野田さんはフッと柔らかい笑みを浮かべた。

「えぇ、ご存知ですよ。こちら、トーストセットです。ごゆっくりお食べ下さい。」

「あ、ありがとうございます…!」

目の前に置かれたトーストセットは、半分がバター、もう半分はフレンチトースト。そしてコーヒー。

す、凄い美味しそう…

私はまずフレンチトーストを手に取り1口食べる。

う、うまぁ…ほっぺたが落ちちゃいそう…

今まで食べた中で、ダントツに美味しいかも、このフレンチトースト…

フレンチトーストをペロリと食べ終わり、バターの方も食べると、フレンチトーストと匹敵するくらい美味しかった。

幸せだぁ…

「お前、凄い幸せそうに食べんじゃん」

「あ、慶くん。慶くんは何を食べたの?」

「俺は、朝はいつもコーヒー飲む。」

コーヒー…大人だなぁ、私は飲めないから尊敬しちゃう。

「お前、コーヒー残してるけど、もしかして飲めないのか?」

すると、机の上にコーヒーだけが残っているの見たのか、慶くんが目を細めてそう聞いた。