朝になった。

空は驚くほど青く、鳥のさえずりが聞こえる。

私は重い身体を起こし、外をぼーっと眺める。

結局、新しい環境っていうのもあって、一睡も出来ずに朝を迎えた。

初めてオールというものを経験した…頭が痛い…

そんなことを考えていると、コンコンコンと襖の縁を叩き、「恵麻さん、入るよ」と陸斗くんの声が聞こえてきた。

私は急いでメガネをかけて、「いいよー!」と返事をする。

「おはよう。恵麻さん。よく寝れた?」

「え?あ、お布団が良かったから快眠だよ〜」

陸斗くんに心配させないように、そう嘘をつく。

「それは良かった。身支度するなら、浴場に入るところに色んなものがあるからそこを使うといいよ。」

そう言った陸斗くんに、私はハッとする。
髪…ボサボサのままだ…!

寝てないとはいえ、ずっと横になっていたから髪はボサボサのまま。

「俺はちょっと親父と話があるから、支度が終わったら誰かに話しかけて、食堂に連れて行ってもらって。」

食堂…?もしかしてご飯はお外で食べるのかな?と思いながら「分かった」と返事をする。

陸斗くんは「それじゃ!」と言って襖を閉めた。

私も、陸斗くんが行ったあと慣れない部屋を出て、昨日行った浴場へと向かった。