「というか、今思い出したんだけど、久我...陸斗くんが今日少し様子が変だったのってディーカス？が関係していたりする？」

りゅうちゃんと一緒にいた時、何かを探るような行動をしていたから、もしかしたらと思って聞いてみた。
そう言うと、うーんと悩んだ様子で口を開いた。

「そうだね。実は最近、ディーカスの総長が高校生だっていう情報があって。もしかしたら甲田くんじゃないかなって声があったから、少し探ってみたんだ。」

そう言ってから、ハッとした表情になった。

「ごめんね。甲田くんのこと疑ってしまって。今日、しっかり甲田くんは関係ないことが分かったよ。」

「全然！たしかに、りゅうちゃんは少し怖い見た目してるからね...でも、りゅうちゃんは絶対そんな事しないよ。」

私が綺麗な夜空を見上げると、陸斗くんが「うん。」と言ったのが聞こえた。
どんな表情をしているのか分からないが、優しいけど、少し申し訳なさそうな声色。

きっと、陸斗くんは他人を思う気持ちが人一倍強いんだろうな。
人一倍強いが故に、自分を苦しめていそう。

...私がそうだから。

「よし。そろそろ暗いし、お風呂に入って寝ようか。」

確かに、もうだいぶ暗いな。明日も学校があるから、もう寝ないといけない。

私がこくりと頷くと、陸斗くんは「お風呂はこの廊下を真っ直ぐ行って左側だよ。この時間は誰も居ないだろうから、ゆっくり入ってね」と言ってくれた。

それから私は、上手く頭が回らないまま、一夜を過ごした。