「お前、まさか俺の名前分からないのか?」

「ひっ、い、いやー、そんなことは...かいくんだっけ!」

たしかそんなような名前だったようなー、なんて

「"︎︎︎︎慶"︎︎な。ふざんなよお前。」

「あー!そうだ!慶くんだ!あはは、名前覚えるの苦手で...」

そう苦笑いで何とか誤魔化した私に対して、桐谷くん、及び慶くんが「はぁー、」と盛大なため息をついた。

「2人とも、段々と仲良くなってきたね!」

久我くんが、後ろからひょこっと顔を出して言った。

「別に。そんな事ないし。」

慶くん、キッパリと言ったな...
個人的には、仲良くなりたいんだけど...

「お前、そんな悲しそうな顔すんな。悪かった...って、」

「...ふぅん、慶がそんなこと言うの珍しいね。」

ニヤリとした表情の久我くんと、少し顔を赤らめ焦った様子の慶くんを、私は交互に見る。

もしかして、話についていけてなさそうな気が...

「クッソ、お前といると調子狂う...俺は寝る!じゃあな!」

あ...行っちゃった...

「ふふっ、大丈夫だよ松田さん。あいつちょーっとシャイなだけ。きっと、松田さんなら慶とすぐ仲良くなれるよ。」

私が今一番欲しい言葉をくれた久我くん...

そうだよね、弱気になっちゃだめ!

「あ、そうだ。俺のことも、ぜひ陸斗って呼んで欲しいな。俺も松田さんのこと、恵麻さんって呼んでもいい?」

「もちろん!よろしく!り、陸斗くん!」

万円の笑みで言うと、久我くんも優しい笑みを返してくれた。