「お前、体調は?」

「あ、大丈夫です…」

そう言うと小柄な人は、ふすまをバンっと大きな音を立て、部屋から出ていった。

ふぅ、緊張した…

さっきの小柄な人、どうも雰囲気が桐谷くんと似ている気がする。

私は大きく深呼吸して、部屋一面を見渡す。

この部屋、凄い和風な部屋だな…

戦国時代の殿様が使ってそうな部屋って言うか、なんて言うか。

なんか...

「夢みたいだな…」

「まだ寝ぼけているの?松田さん。」

わ!

びっくりして、勢いよく声のした方を向く。

どうやら、さっき久我くんが来て、私の独り言を聞いていたらしい。
は、恥ずかしい…

「良かった、松田さんが起きて。なかなか起きないから心配してたよ。ごめんね、乱暴なことしちゃって。」

申し訳なさそうに笑った久我くん。

「ちょっとさ、少し中庭に行かない?色々、松田さんに話したいから。」

話…?なんだろう。

「うん、分かった。」

そう言って私と久我くんは、この部屋を出る。

「すごい広いね、この家。」

中庭に向かっている途中、静かすぎて思わずそんなことを聞いた。

「うん。まあ、本邸はもっと広いけどね。」

「本邸…?ってことは、ここは本邸じゃないの?」

「うん。ここは別邸。本邸の方がもっと広いよ。」

久我くんの言葉に、私は凄く驚く。

まだ全体見てないと思うけど、だいぶ私の家より広いよ?廊下めっちゃ長いし、まだ全然廊下続いてるし…