そう考えると、少し安心。

「そういえば、松田さんはお買い物?」

「うん。久々に来たんだよね。」

私がそう言うと、久我くんは私をちらっと見て、「なんか、いつもと雰囲気違うね」と、ニコッとして言った。

「あはは、ちょっと恥ずかしいなぁ」

同じクラスの人にこの姿見られるのは、なんか恥ずかしい。

「最初、松田さんって気が付かなかったよ」

確かに、学校では全然こんな感じじゃないから、気づかれにくいのかも知れない。

私も、知り合いがいつもと全然違う格好だったら、気づかないかも。

「おい陸斗。そろそろ帰るぞ。さっき獅子郎様から今日夕方打ち合わせがあるって連絡来てた。」

「あっ、分かった。それはそろそろ行かないとね。」

そう言って久我くんは腕をのばしうんと背伸びをした。

私も、そろそろ帰らないと。

「じゃあ、私もそろそろ帰るね」

そう言って、私は駅の方向へ向き、歩き始める。

今日の夕飯なんだろう、本はどんな内容なんだろう。
今日は、家に帰ったら楽しみな事が沢山あるな...

そんなことを考えていたら、後ろから腕をガシッと掴まれた。

「え?」

「松田さん、もしかして、このまま家に帰れると思ってない?」

私の腕をしっかりと掴み、意味深な発言をした久我くん。

「バレたからには、タダで帰す訳にはいかないからね?」

ニコッと目の奥が笑っていない笑みを浮かべると、久我くんは小さく「ごめんね」と言って私の首にドンッと手刀を打った。

そして私は、手刀によって一瞬で意識を失った。