ひ、ひとまず、

「助かったぁ…」

正直、不良の人に絡まれるのはすごい怖かった。

極度の安心から、力が抜け地面に座り込んでしまう。

「えぇ!松田さん大丈夫?!」

「う、うん。何とか…」

久我くんの後ろにいた人達が、不良の人達を取り押さえていたり、けが人の手当をしている様子を、2人で座ってみている。

「えっと、久我くんは、一体何者なの?」

少なくとも、私たちの様な一般人とは違う、というのは分かる。

「えっと、最近、ディーカス、暴走族の奴らが暴れているみたいで、俺らが見回りをしているんだ。」

見回り、か。
なんかちょっとかっこいい、なんて事を思ってしまった。

「久我くんは、警察なの?」

見回りってことは、そういう事なのかな?

「うーん、まぁ、そんな所。…いや、もうここまで来たら隠すのも嫌だなぁ。」

そう言って久我くんはゆっくりと立ち上がった。

「俺らは、久我組。まぁ、一般的に言うと、ヤクザ?とか、極道とか、そういう括りの人達なんだ。」

ヤクザ…?!
久我くんの発言に、私は目を見開く。

や、ヤクザって、あのヤクザ?!
ぼ、暴力とか、イケナイ売買とかしているって事…?

「でも、俺ら久我組は皆が想像しているものとは違って、どっちかと言うと警察に近いかな?意味の無い暴力とか、法に触れる事はご法度だよ。」

あ、そうなんだ。
確かに、久我くんは全然暴力的な人じゃないし、後ろにいる人も、強面の人が多いけど、血の気が多い人達では無さそう…?