「なんだ。俺達のこと知ってるんだ。なら話は早い。」

そう言って段々と近づいてきた金髪の人。

「おい、ディーカスの総長は誰だ」

髪をガシッと掴み、驚くほどの低音ボイスで、不良の人に問いかけた。

「い、痛い!」

「お前がさっきあの人にやった事だろう。何痛がってんだよ。お前がやられて嫌なこと人にするな。」

金髪の人は驚くほど冷たい目で、淡々とそう言っている。

……いや、金髪の人、じゃない。

声、少し雰囲気がいつもと違うけど、綺麗な目、綺麗な鼻、綺麗な肌。

私がずっと見つめているのに気が付いたのか、金髪の人とバチッと目が合った。

「君、怪我はな...」

「久我くんっ…?」

久我くんの問いかけと被るように、私は金髪の人にそう言った。

すると金髪の人…いや、久我くんは大きく目を見開いた。

「え…?も、もしかして、松田さん…?」

「う、うん。」

少しの間、異様な空気が漂う。

久我くんだけじゃなくて、久我くんの周りにいる人たちも、皆私を見ている。

「じ、じゃあ俺はこの辺で帰ろうかなぁ〜」

さっきまで大人しく座っていた不良の人が、そう小さい声で言って、ゆっくりと立ち上がった。

「おい、逃がすわけないだろ」

後ろにいた少し小柄の男の人が、その不良の人の服の襟をガシッと掴む。

この人の声も、どこかで聞いたことあるような…?

「おい、陸斗、こいつどうする?」

「車に入れといて。後で話も聞きたいからさ。」

久我くんがそう言うと、小柄な人がこくりと頷き片手で不良の人を引きずり、大きな車の方へと運んで行った。

い、以外に力強いんだな…

「参ったなぁ、俺らのこと知られちゃったな…」

久我くんが顎に手を当て、ボソッと呟くようにそう言った。