「た、倒れているので…あと、、怪我もしてるし、」

「大丈夫大丈夫ー。ただ俺らとこいつ、遊んでただけだよー?」

遊んでいた…?
どう見ても、倒れている人が一方的に殴られていたと思うんだけど、
それに、あの苦しそうな顔。心の底から、助けを求めていた。

何故かそう発言した不良の人達に、怒りが込み上げる。
これが遊びなの…?

「その人は、仲間の人なんですか?」

「ん?こいつ?今日が初めましてだよ。こいつが暇そーにしてたから、相手してただーけ。それよりさぁ、」

気持ちの悪い笑みを浮かべ、私の腕を乱暴に引き寄せた。

「俺らと遊ばない?」

不良の人に掴まれた部分が、妙に気持ち悪く感じる。

「やめて…離しっ…」

「騒がしいと思えば、まーた君たちか。ディーカス。」

え…?何?

何故か、凄い聞き覚えのある声に驚き、その声のした方向を見る。

「ディーカス、女性には手を出さないと思っていたんだが、遂に出すようになったのか?」

十数人程度の、威圧感が溢れている男の人の団体がこちらへ歩いてきていて、1番先頭の金色の髪の人が、冷たい目をして不良の人たちを見て呆れるようにそう吐き捨てた。

その声も、その髪も、その瞳も。
私は知っている。
見覚えしかない。

「あ?なぁに?君たちっ…」

私の腕を掴んでいた人が、額に青筋を立てながらそちらを見ていたが、一気に顔が青ざめた。

「久我…組…っ」