「ふぅー…!買った買った!」

そう独り言を言って、私はショッピングモールの出口を出る。

久々に買い物が出来て良かったなぁ、

家を出て隣町に着いた後は、いつも通りショッピングモールに行って、参考書を買ったり、少しオシャレな服を見たり、本を見たり…といつもと同じ過ごし方をした。
今日私が買ったのは、参考書1冊と、好きな作家さんの本3冊。
結構買っちゃったけど、いい買い物出来たなと思う。

えっと、今何時だ…?

そう思いカバンからスマホを取り出そうとしたら、少し離れた所から「助けてください!」と悲鳴混じりの男の人の声が聞こえた。

え?!何?!

何かトラブルかな、だとしたらあまり関わりたくないな…

そう思っても、何故か私は、その声の下方向へ向かっていた。

きっと、人だかりが出来ているはずだから、様子を見て大丈夫そうなら、帰ろう。

そう思っていた。

しかし、思った以上に人が居なくて、その代わり、多くの人は私と逆の方向へ焦ったように歩いて行っている。

…え?嘘、

私は、目の前にひろがる光景に、腰を抜かしそうになった。

目の前には、血まみれになった男の人が倒れていて、それを3人のいわゆる『不良』というような人が囲んでいた。

「おい、そこのねーちゃん、なーに見てんの?」

私が突っ立っていると、3人の中でも特に怖そうな人が、ギロっと睨みながらそう言ってきた。

すると倒れている男の人は、苦しそうに、「助けて…」と言ったのか、口の動きでそう伝わった。

「え…」

「えー?なになに?声小さいなぁ、ってか、そこそこ可愛いじゃん、君。」

そう言って段々と近づいてくる。

どうしよう、足が棒みたい…何も動かない…

「何?もしかしてこいつが可哀想って思ってたりすんのー?」

そう言って男の人は、倒れてビクともしない男の人を指さした。