「そ、そういえばりゅうちゃん、最近、暴走族?が暴れてるみたいだけど、りゅうちゃん知ってる?」

「暴走族?何それ」

りゅうちゃんはそういう話を聞いてないのか、不思議そうな顔をしている。

「え?!甲田くん、ディーカスを知らないの?」

ディーカス?

りゅうちゃんも、私と同じような表情をして久我くんを見ている。

「ディーカス?なんだそれ。」

「あ…いや、なんでも無いよ。ごめんごめん、こっちの話。」

また久我くんは焦ったような顔をする。

なんか、今日の久我くん、少し変だな…

「そろそろ昼休み終わるし、教室戻ろうぜ」

りゅうちゃんはパンが入っていた袋を手に取り、席を立った。
私もお弁当を丁寧に包んで手に取る。

久我くんは、やっぱり何か考え事をしている様子。

「久我くん、教室に戻ろう?」

私が久我くんにそう言うと、久我くんはハッとして「うん。」と返事をし久我くんも席を立った。

「午後の授業だりーな。」

「えぇ?りゅうちゃん、次の授業が2年生になって初授業じゃない?」

「ふっ、そうだったっけ。」

りゅうちゃんが可笑しそうに笑う。

相変わらず、りゅうちゃんの面倒くさがりは健全みたい。

「甲田龍騎が違うなら、一体誰なんだよ…」

後ろにいた久我くんの独り言は、私とりゅうちゃんの耳には届かないまま、私達は教室へ向かった。