久我くんが屋上の鍵をガチャっと開け、少し重そうな扉が音を立てながら開く。

「わぁ、」

つい、そんな声が漏れてしまう。

屋上の扉が開くと、綺麗な屋上と、真っ青な空が広がっている。

「今日は天気がいいね。」

久我くんも、少し嬉しそうな表情をしている。

「あっちにベンチとテーブルがあるから、そこで食べようか。」

「うん!」

久我くんが指を指した方向には、木製の綺麗なベンチとテーブルがあり、私たちはそこで各々持ってきたものを食べ始める。

…あれ?

「久我くん、今日はパンなの?」

前、調理実習の時久我くんすごい料理が上手だったから、てっきり毎日作ってるんだなぁ、と思っていた。

「あぁ、そうなんだよね。基本的、毎日パンだよ。朝はどうも作り気にならないって言うか…そもそも、料理自体あまり好きでは無いからね」

「そうなんだ。でも、調理実習の時久我くんが作ってくれたオムライス、すごい美味しかったよ!」

私がそう言うと、久我くんは嬉しそうに「褒められると照れちゃうな〜」と言った。

「恵麻は、料理出来る男の方がいいのか…?」

私の隣で、りゅうちゃんがそうボソッと言ったのが聞こえた。

「そうだなぁ、料理自体は嫌いじゃないからどっちでも良いんだけど、でも、一緒に料理出来たらいいなって思うよ。」

そう言って、少し後悔。

「って、そんなこと興味無いよねっ、ごめん!自分のこと話しちゃって…!」

2人を見ると、りゅうちゃんは、何かを考えているような表情、久我くんは、ニコニコしている。

「全然、そんな事思わないでよ、松田さん。俺としては、松田さんの事知れて良かったよ。」

久我くんっ、

きっと私の話なんて興味無いはずなのに、私のことを思ってそう言ってくれたんだろうな…