久我くんの持っている鍵には、屋上と書かれた名札が着いている。

「え!久我くん、屋上の鍵持っているの?」

「うん。この鍵は俺が管理しているんだ。だからよく屋上でご飯食べたりしてるんだよ。」

確かに。考えてみればお昼の時久我くんはいつも教室にいないな。

「じゃあ、屋上に行こうか。」

そう言って私と久我くんとりゅうちゃんは、一緒に屋上へ向かった。

「そういえば、2人って付き合っているの?」

屋上へ向かう途中、久我くんが私たちにそんなことを聞いてきた。

「別にお前に関係ないだろ。」

りゅうちゃんが久我くんに対してそう強めに言った。

それに対して久我くんは怯む事無くニコリとしている。

やっぱり、久我くんはこう言った口調の人に慣れているのかな…
さっきも、恐ろしい形相で来たりゅうちゃんに対しても怖がらなかったよね...

「あはは、りゅうちゃんとはそんな関係じゃないよ〜。あとりゅうちゃん、久我くんは悪い人じゃないから、そんな言い方しちゃだめ!」

私がりゅうちゃんにそう言うと、りゅうちゃんはしょんぼりとした表情になる。

「ごめん、恵麻…」

そう言ったりゅうちゃんに、少し罪悪感が押し寄せてくる。

「大丈夫だよ!りゅうちゃん。こっちこそ言い方悪かったかも!」

「いや、恵麻は悪くない。元はと言えば、俺が嫉妬したのが悪いんだし…」

後半の方は、りゅうちゃんが何かボソッと言ったので聞き取れなかった。
何を言ったのか気になるけど、りゅうちゃんはたまにそういう事があるから、あまり気にしないでおこう。

そういえば、よく「付き合ってる?」って聞かれるけど、私とりゅうちゃん、そんなふうに見えるのかな?

私は全然いいんだけど、りゅうちゃんはきっと私とそう思われるのは嫌だろうな。

そんなことを考えていると、もう屋上の入口の前に着いた。