だけど、その笑みがなんか少し作り笑い…というか、嘘っぽい笑みの様に感じた。

「恵麻、一緒にメシ行かね…って、お前誰。」

恐ろしい形相のりゅうちゃんが、こちらへやってくる。

か、完全に敵対視しているな…あはは、

りゅうちゃんは、私が男の子と居ると大抵この顔をする。
高校1年の頃、道に迷った時先輩に助けを求めていたら、りゅうちゃんが来て先輩にこんな顔して来たのを思い出す。
その時、「俺が教えるから。」って少し照れながら言ってきたっけ。

「あ、甲田くん。今、松田さんとご飯食べようって話してて、良かったら甲田くんも来ない?」

「あ?俺は恵麻とメシ食うんだよ。」

「今日だけ、俺も混ぜてくれないかな?明日からは2人の邪魔はしないよ。」

久我くんはそう言うと、りゅうちゃんは私の方を見て、こいつ誰?と言わんばかりの表情をする。

「えっとね、この人は久我くんって言って、いつも手伝ってもらったりしてるの。凄い良い人だよ。」

私はりゅうちゃんにそう説明すると、りゅうちゃんは頭を悩ませ、「まぁ、今日だけなら、」と言った。

「ありがとう。甲田くん。それじゃあ、ここで食べるのも、なんか嫌だから屋上でも行こうか?」

そう提案した久我くん。だけど、

「屋上って、私たち入れたっけ?」

確か屋上は関係者以外立ち入り禁止だったはずだけど…
すると久我くんが、「あぁ、ちょっと待ってね…」と自分のポケットに手を入れ何かゴソゴソとして、右ポケットから鍵が出てきた。

「ほら。これ。屋上の鍵。」