口元を抑え、顔を真っ赤にしながら何かを呟いた。

「ん?なんか言った?」

「っ、いや、なんでもない…」

なんか今日、りゅうちゃん変…?
顔がものすごく赤い。

…もしかして、

「りゅうちゃん、風邪気味?」

私がそう言うと、りゅうちゃんは少しの間固まってから、呆れたような表情をする。

「はいはい、もうそういうことにしといてくれ〜」

そう言って私の頭に手をポンっと置き、教室の方面へ歩いていった。

「あ!りゅうちゃん!待ってよ!」

私はりゅうちゃんの後を追うように小走りで教室へ向かう。

「ふふっ、りゅうちゃんが学校来てくれてよかっなぁ…」

教室に着き、そう小さく呟く。

「あの、松田さん。ちょっといい?」

わっ!
少し気が抜けてぼーっとしていると、後ろからそう呼びかけられた。
さ、さっきの独り言聞かれちゃったかな…

「ど、どうしたの久我くん!」

「えっと、松田さんと甲田くんってどんな関係なの?」

そう少し怪訝そうな表情でそう聞いてきた。

「えっと、りゅうちゃんとは…」

「あ!私も気になるー!」

「私もー!」

幼なじみだよ。そう言おうとした時、近くにいた女の子数名がそう言って近寄って、私を囲むように人が集まった。

こんな事は中々ないし、それより、女の子たちは、なんというか、完全に捕食者の目をしているので、怖くなってしまう。

「ごめん。今、松田さん俺と話してるから。」

いつもの久我くんからは想像出来ないほどドスの効いた声。

そして、さっきまで騒がしかった私の周りは、一気にシーン、と静かになった。