「よし。分かってるならよろしい。それより、どうしたの?」

俺がそう尋ねると、慶は「人が居ないところで...」と俺にしか聞こえない声量で言った。

「分かった。」

教室を出て、日のあまり当たらない薄暗い所まで来た。

「学校来る前、獅子郎様から許可が降りた。被害も大きいことから、陸斗、俺、下のヤツら数人で見回りへ行くらしい。目立たないように。」

ふぅん。そっか。
結構被害広がっていってるのか。

...このままアイツらが勢力を拡大していくなら、俺らが危ない。

それより、勢いが凄いな。

しかも、俺らが知らない所で、色んな人が襲われている。

まるで、まとめてる奴は、中途半端な素人じゃなく、︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎︎︎こっち側の人間"︎︎っぽいな。

「...やっぱ陸斗もそう思う?」

お、慶も思ってること同じ感じ?

「まぁ、タダの喧嘩が好きな奴とは違うっぽいねぇ、」

そこはきっと確定だろう。

慶も、首を上下に何度も振ってるし。

「まぁ、分かった。伝えてくれてありがとね。」

「うん。あ、そうだ、五木(イツキ)さんも連れていく?きっと連れてった方が、遭遇した時に確実に抑えられると思うんだよね。」

たしかに。力も強いし、感も鋭いから連れていった方が良いかもしれないな。

「ちょっと誘ってみるよ。」

「頼んだ。」

後で連絡入れておくか。でもあんまりそういうの好きじゃないんだよなぁ、きっと。

「慶、他にはなんかある?」

一応、他に話があるか慶に聞く。

「いや、特に無いかな。」

「そっか、分かった。じゃあ教室に行こうか。時間もそろそろ無くなってきたし。」

「いや、俺は用事あるからいいや。陸斗先行ってて。」

「え?あ、うん。分かった。」

珍しいな。慶に用事があるなんて。

「じゃ。」

慶はそれだけ言って歩いて行ってしまった。

時間もやばそうだし、教室帰るか。

そう思い、俺はひとりで教室の方へ向かう。