そうボソッと言って去っていったのは、桐谷くん。

心の中で、ヒェッ...と情けない声が出た。

こ、怖い...どうしたんだろう...嫌なことあったのかな?

って、今はそんなことどうでもいい...本格的に時間が迫ってきている...

私はさっきよりも急ぎめで教室へ向かった。

「松田さん。大丈夫だった?ごめんね、手伝えなくて」

ギリギリ教室まで着くと、一番に久我くんが申し訳なさそうにそう言った。

「全然!元々私のお仕事だったし、あそこまで手伝ってくれて本当に助かったよ」

「ふふっ、そう言って貰えて嬉しいなぁ。こちらこそ、松田さんにはいつも助けて貰ってるから。」

そう言って、久我くんはニコッと柔らかい笑みを浮かべた。

全然私、久我くんに何も出来てないのに...

「じゃあ、そろそろ授業始まっちゃうし準備しようか。」

「うん!そうだね!」

そう言って別れ、各々自分の席に座る。