はぁー、やっと終わったー...

周りが段々と賑やかになっている中、窓側で私と久我くんは疲れた表情をする。

こんなに早く終わるとは思ってなかったな...

久我くんは私の予想以上に活躍してた。少し大雑把だったけど、とても仕事が早かった。

「久我くんのおかげでこんなに早く終わったよ...本当にありがとう。」

「いやいや、俺は特に何もしてないよ。松田さんの方が頑張ってたよー」

そうにっこり笑顔で言った久我くん。

紳士だなぁ...完全に久我くんの方が明らかに数をこなしているのに...

「じゃあ、これを職員室に...」

「陸斗、今日のことで...」

久我くんの言葉を遮るように、誰かが久我くんに話しかけた。
声がした方を向くと、よく久我くんと一緒にいる男の子が、私を睨むように見ていた。

え、私何かしちゃった...?なんでこんなに睨んでるんだろう。

「あー、ごめん...松田さん、ちょっと俺コイツと話してくるね。慶(ケイ)、お前は睨むのやめなさい。このプリント、ひとりで職員室運べそう?」

「あ...うん!全然大丈夫!ここまで手伝ってくれてありがとう!」

私はプリントの束を持ち、急いでその場から離れる。

...ふぅ、怖かった、

あの人は、確か桐谷 (キリヤ )君。私よりは大きいが、少し小柄で、いつもひとりでいるイメージ。まぁ、私も他人のこと言えないんだけどね...
それと、桐谷くんはマスクと前髪で顔完全に隠れてて、1年生から一緒だったんだけど顔は見たことがないんだよね。

まぁ、とりあえずこれを職員室に持っていこう。

職員室のドアの前に立ち、今日2度目のコンコンコン、と3回ノックして、扉を開ける。

「2年の松田です。酒井先生...」

「おぉ!松田!待ってたぞ!」

案外近くにいたのか、私が言い終わるより先に反応した酒井先生。

「これ。しっかり久我くんとやっておきましたよ。」

「本当に助かる...ありがとう!久我にも後で感謝しないとなぁ...」

そう言って、私が持っていたプリントの束を軽々と受け取り持ち上げた。

少し重かったのに...こんな軽々と持ち上げるなんて...

「じゃあ、あとは国語のノートだけだなぁー。頼んだぞ!松田!」

「はい。分かりました。それじゃあ、失礼します。」

そう言って職員室を後にする。

時間もあまり無いから、急いで教室に戻ろう。

「わっ...!」

急いで戻ろうとしたので、周りを確認していなかったからか、曲がり角で誰かとぶつかってしまう。

「チッ、しっかり周りみとけよ...」