「え?うん。」

私がそう言うと、久我くんは「はぁー...」とため息をついて、私の持っていたプリントの束を半分を手に取った。

「松田さん、難しいなって思う時は、人に頼ってよ。これなんて絶対1人でやるのは無理だから。」

そう子供を叱るように言った久我くん。

その姿に、クスッと笑ってしまう。

「え?なんで笑ってるの?」

「ううん。なんか、お母さんみたいだなぁって。」

さっきの叱る姿、なんか子供のイタズラを怒るお母さんみたいだったなあ。

「えぇ?何それ、ふはっ!」

私の言ったことがおかしかったのか、久我くんは噴き出すように笑った

「お母さんなんて、初めて言われたかも。」

「え?!なんか以外...」

「以外?俺そんなお母さんっぽい?」

「うん!ぽい!」




「「あははっ!」」




2人とも、何かの漫才でも見てるかのように笑う。

本当に、久我くんは面白い。


「こらー、職員室の近くで騒ぐなー」

私たちの笑い声が職員室まで聞こえたのか、中から先生が私たちに向かってそう言った。

「あ、やべっ、すみませーん!松田さん、とりあえずこのプリント教室まで運んで急いでこれ片しちゃおっか。」

「うん!そうだね!」

私もそう返事をして、久我くんと一緒に教室まで運ぶ。

「おいしょ...っと、おっけ!えっと、これをまとめればいいんだっけ。」

「うん!」

プリントの束を、窓側にある私の机に置く。

久我くんが居るなら終わりそうかも...!

すると久我くんは、私の一個前の人の席を軽々と持ち上げ、私の席にくっつけた。

あっ、そっか。一緒に作業するんだから机くらいくっつけるよね。

「パパッと終わらせちゃおっか。」

そう言うと、慣れた手つきでプリントを手に取りホチキスでまとめ始める。
私もコクリと頷き、丁寧にプリントをまとめる。

それからは、久我くんと他愛のない会話をして、どんどん作業を進めていった。