辛そうで、自分の意志じゃないみたいで。

だけど抗うことは出来なくて、仕方なくって感じで。


……当たり前だ。なんで好きでもない女の子とキスしなきゃいけないんだって感じだよね。

ごめん、蓮人くん。全部ぜんぶ私のせいだ。


「ごめん、巻き込んでゴメンね……っ」

「……はぁ、言うと思った」


私の頭を撫でようとした蓮人くんは「おっと」と言って、直接触れるのをあからさまに避けた。

そう言えばさっきも、



――こうならないように、保健室に運ぶ間も触らないよう気を付けてたのにな



って言ってたっけ。


「昨日、俺と桃子の手が触れた時。電流が走ったみたいになったろ、ビリってさ」

「うん」

「きっと、あの時に桃子の体の中で変化が起きてフェロモンが出るようになったんだ。そして発動条件は、俺と直接的な接触を図った時。解除条件は……達した時」

「たっした、とき……?」

「……」


蓮人くんは斜め45度くらいに顔を倒し、口をきゅっと結んだ。

そしてじーっと私を見るから、何事かと思えば――


「気持ち良かった?」と。


なんとも大胆に聞いてきた。