「あ……っ!」

「おい、桃子?」


心臓が大きな音を立てて波打った時。

私を心配した蓮人くんが、私の肩や腕をギュッと握った。

すると肌と肌が触れ合ってしまって……私を、更に熱く燃やす。


「な、んか……あついッ」

「……まさか、また昨日と同じ事が」


ギュッと眉間にシワを寄せた蓮人くんが、掴んでいた私の腕から手を離す。

どうやら蓮人くんは「自分のせいで私がおかしくなってる」って思ったのだろうけど……一度抜けてしまった栓は、いくら距離を取ったところで、簡単には戻らない。


ギュッ


短い呼吸を繰り返す私は、離れようとする蓮人くんの体操服を、いつの間にか掴んでいた。


「おい、桃子……?」

「れん、とくん……っ」


布団から抜け、ベッドの上に膝立ちになる。

すると、蓮人くんの瞳とほぼ同じ高さで視線がぶつかった。


そうすると、さっきより一層、蓮人くんを近くに感じる。

それがなぜか嬉しくて、心臓の鼓動も早くなって、

そして――



【 蓮人くんがほしい 】



また、自分ではない感情に支配され始める。