サイアクだ。


どうして私はこんなところに迷い込んでしまったんだろう。


だっているなんて思わないんだもん。
極悪人、と呼ばれるこの人が。


どうやってこの場から逃げだそうかとぐるぐる考えている私の前にら灰色のパーカーを深く被っている男の人。


目元はあんまりよく見えないけど、唇の端を吊り上げて面白そうに笑っている。



「……へぇ、フクカイチョーさんじゃん」


コンビニの裏に響いた低い声。

自分が''生徒副会長''であることを知られていたことにどうしようもなく恐怖とともに驚きを感じる。

言いようもない威圧感に襲われた気がして手を強く握りしめた。


周りには転がっている数人の男たち。
顔つきから同年代くらいの人だとわかる。


たぶんこの人がやったんだろう。



……逃げないと。


本能が告げてくる。

全細胞が今すぐこの場から逃げ出したいと言ってる。