瞬間、フランネルフラワーの髪飾りが風に乗って飛ばされる。こともあろうにそれはリオネルの足元に舞い落ちた。
「あっ……」
エリーヌが思わず声を漏らすのと、リオネルが立ち止まるのとはほぼ同時だった。
彼の視線がつま先の前に落ちた髪飾りから、エリーヌに移る。
細い剣のような鋭い視線に射貫かれ、エリーヌは足が竦んだ。冷ややかな深い青緑色の瞳からはなにも読み取れず、身じろぎもできない。
彼の右隣にいた側近が髪飾りを拾おうとしたが、リオネルがそれを手で制す。そのまま捨て置くのかと思いきや、彼はそれを拾い上げエリーヌに歩み寄った。
唇を縫い留められたみたいに口を利けない。心臓が震えた気がした。
リオネルは髪飾りを差し出しつつエリーヌを見据え、訝しげに目を細める。
温度を感じない、無機質な眼差しに焦らずにはいられない。
「も、申し訳ございません!」
ようやく口を動かせた。エリーヌは、リオネルが〝皇帝である私に落とし物を拾わせるとはなにごとか〟とご立腹なのだろうと大いに焦った。受け取ったそれを胸に抱き、必死に詫びる。
「あっ……」
エリーヌが思わず声を漏らすのと、リオネルが立ち止まるのとはほぼ同時だった。
彼の視線がつま先の前に落ちた髪飾りから、エリーヌに移る。
細い剣のような鋭い視線に射貫かれ、エリーヌは足が竦んだ。冷ややかな深い青緑色の瞳からはなにも読み取れず、身じろぎもできない。
彼の右隣にいた側近が髪飾りを拾おうとしたが、リオネルがそれを手で制す。そのまま捨て置くのかと思いきや、彼はそれを拾い上げエリーヌに歩み寄った。
唇を縫い留められたみたいに口を利けない。心臓が震えた気がした。
リオネルは髪飾りを差し出しつつエリーヌを見据え、訝しげに目を細める。
温度を感じない、無機質な眼差しに焦らずにはいられない。
「も、申し訳ございません!」
ようやく口を動かせた。エリーヌは、リオネルが〝皇帝である私に落とし物を拾わせるとはなにごとか〟とご立腹なのだろうと大いに焦った。受け取ったそれを胸に抱き、必死に詫びる。