(女性嫌いとの噂もあるみたいだから、ここには姿をお見せにならないのかもしれないわ。たとえば宮殿の中から側近たちと見ているとか)

そう思って宮殿を見たが、裏側のためバルコニーはなく、たくさん並ぶ窓には遠目のためそのような影は確認できない。

(でも私には縁のない話だし、気にする必要はないわね)

エリーヌは自嘲して肩を小さく上げ下げした。


「エリーヌ、あちらで少し休もうか」


ジョスランとの話を終えたエドガーがベンチを指差す。庭のいたるところに置かれたそれには、グラスを手にした貴族たちも座っている。


「はい」


エドガーに頷き、空いているベンチに腰を下ろす。飲み物を給仕する侍女がやって来たため、洋ナシを発酵させたペリー酒を手に取ったそのとき、エリーヌの魔石がかすかに光を帯びたように見えた。


「あら……?」


しかしそれはほんの一瞬で、すぐにいつもの状態に戻る。