そう説いて周囲の者たちを納得させたのはダリルだ。


「ええ、まぁ、そうでしょうかね」


どことなく歯切れの悪い言い方だ。


「なにかほかにあるのか?」
「あぁ、いえ。しかしあの魔石に魔力がないというのは頷けませんな。ただ眠っているだけだと私は思うのです」


リオネルはダリルの言葉にハッとした。


「そういえば、ひとつ不思議なことが……」


リオネルは、深手を負っていたと思われるアンリの傷がいつの間にか浅いものになっていたことを話した。馬車で帰る道中、エリーヌがその手当てをしていたとも。


「やはりそのようなことが」


興味津々な様子で話に聞き入っていたダリルは深く頷いた。少なくとも自分の予想は見当違いではないという確証を得たのだろう。