「私、ヴァーリック様のことが大好きです。誰よりも、なによりも大切に想っています。どうしようもないほど、好きなんです……!」


 それはオティリエが大事に温めてきた心の声。なによりも大切な想い。言葉にするだけで涙がこぼれ落ちてしまうほど。ポロポロと止めどなく流れる涙を拭いながら、オティリエは肩を震わせた。


「オティリエ、本当? 僕のことが好きって……」


 ヴァーリックがオティリエの肩を抱く。オティリエはうつむいたままコクリとうなずいた。


「……っ!」


 息をのむ音。ついで身体がきしむほどヴァーリックから力強く抱きしめられる。


「だけど……だからこそ私は、私がヴァーリック様の妃じゃダメだって思っているんです」

「そんなことない」


 ヴァーリックがオティリエの頬に口づける。オティリエはそっと首を横に振った。


「私はヴァーリック様に誰よりも幸せになってほしいんです。だけど、私はヴァーリック様を幸せにしてあげられる自信がないから」

「だったらなおさら、オティリエは僕と結婚しないと」

「……え?」


 どうして? と戸惑うオティリエの前に、ヴァーリックはひざまずいた。