【オティリエはどうやったら僕のことを好きになってくれるだろう? ……僕の想いにこたえてくれるだろう?】


 と、再びヴァーリックの心の声が聞こえてくる。


(え? 今の、私のこと……?)


 そう自覚をした途端、喉や胸をかきむしりたくなるような切なさや焦燥感がオティリエの身体に流れ込んできた。


(ヴァーリック様)


 これまでヴァーリックは、オティリエに極力本音を聞かせないようにしていた。それは心の声を聞かれたら困るからではなく、オティリエを戸惑わせないようにするためだ。毎日たくさんの人の心の声を嫌でも聞いてしまうオティリエを少しでも休ませてやりたい……以前そう話していたことがある。

 だけど、本当は伝えたくて……聞いてほしくてたまらなかったのかもしれない。ヴァーリックの苦悩を。こんなにも大きな想いをひとりで抱えていることを。オティリエの返事を待ち焦がれて苦しんでいることを。
 それでも、オティリエのことが大切だから必死に隠し続けてきたのだ。