「さすがはイアマ様!」
「お美しいですわ!」


 使用人たちが口々にイアマを褒める。誰もオティリエのことを見もしない。……けれど、そう思ったのは一瞬のことだった。


【それに比べてオティリエ様は……】


 彼女たちは時折オティリエのほうを振り返り、クスクスとバカにしたように笑う。オティリエは思わず赤面し、柱の陰に身を隠した。


(恥ずかしい)


 期待などするべきではなかった。少しは美しくなれたのではないかと――認めてもらえるのではないかと思ったのがいけなかった。胸が苦しい。息が苦しくて今にも倒れてしまいそうだ。なんとか気をたしかに持ちつつイアマを見れば、彼女はふふっと口角を上げた。


【オティリエったら本当に身の程知らずねぇ。あなたがわたくしに勝てるはずないでしょう? 使用人たちの関心も、称賛の声も、すべてはわたくしのために存在するの。一ミリだってあなたに渡すつもりはないわ】


 イアマの心の声が聞こえてくる。聞きたくないのに――耳をふさいだところでダイレクトに脳に響くのだから意味がない。